なぜ与野本町「大吉」を開いたのか。浜田隆吉が独立を決めた日の話と、しくじりから学んだ仕込みの哲学

あれこれ

いつもありがとうございます。
やきとり大吉 与野本町店の浜田です。

突然ですが、少し驚く数字を共有させてください。

飲食店の新規開業から3年以内に約70%が閉店するというデータがあります。10軒のうち7軒が、3年で消えていく。この業界に飛び込むとき、正直に言えば、その数字をちゃんと調べていませんでした。いや、調べていても同じ決断をしていたとは思いますが——それは少し後で話します。

今日は少し珍しい話を書こうと思います。「なぜ与野本町でお店を開いたのか」という話と、修行時代にやらかしたしくじりの話です。恥ずかしい話なので長い間あまり人に言わなかったのですが、これが今の仕込みの哲学に直結しているので、正直に書きます。

物価が上がって外食の頻度を絞っている方、「安い店に行ったら正直イマイチだった」という経験がある方にこそ、読んでもらいたい内容です。

こんな方におすすめ

  • ✅ 物価高騰で外食の予算を絞りつつ、本物の味は諦めたくない方
  • ✅ 「安かろう悪かろう」の外食に疲れて、コスパの良い店を探している方
  • ✅ やきとり大吉 与野本町店の店主・浜田がどんな人間か知りたい方
  • ✅ 手仕込み・継ぎ足しタレといった言葉の「中身」を知りたい方
  • ✅ 与野本町・さいたま市中央区周辺で信頼できる居酒屋を探している方
なぜ与野本町「大吉」を開いたのか。浜田隆吉が独立を決めた日の話と、しくじりから学んだ仕込みの哲学 | やきとり大吉与野本町店

修行4店舗目、東京で「一番の失敗」をした夜のこと

大阪で2店舗、京都で1店舗、そして東京で1店舗。独立前にそれだけの場所で修行させてもらいました。それぞれの店から受け継いだものが今のタレの原型になっているので、どの時間も無駄ではなかった。それは確かです。

ただ、東京の店での話です。ある繁忙期の夜、仕込み量が追いつかなくなりました。オーダーは止まらない。グリラーは止まらない。次の串を出せないと困る——そのプレッシャーの中で、私は「少し温度が上がってしまった鶏肉」を使って仕込みを続けたんです。

その日、お客さまから「なんかいつもと違う」と言われました。直接クレームではない。でも、その一言が刺さりました。

「なんかいつもと違う」——これほど怖い言葉はない。明確な不満より、静かな違和感のほうがずっと根が深い。信頼というのは何年もかけて積み上げて、崩れるときは一瞬なんだと、あの夜に身体で覚えました。

それからです。どんなに忙しくても保冷剤で鶏肉を冷やしながら、少量ずつ仕込むというルールを自分に課したのは。手袋や指サックを使うのも、手の温度で肉質が変わることを知っているから。「面倒くさい」ではなく「これをやめた瞬間に信頼が終わる」という感覚で、今日も続けています。

なぜ与野本町を選んだのか。独立を決めた、あの会話

東京での修行が終わりに近づいたころ、「どこで独立するか」を真剣に考え始めました。正直、最初は都内のどこかで、と思っていた。家賃が高くても客数で回収できるという算段です。

でも、あるとき師匠から言われた言葉があります。「お前、誰のために焼くつもりや」。

派手な立地で多くの人に認知されることと、特定の場所で根を張って地域の人に信頼されること——どちらが自分のやりたいことに近いか。考えれば考えるほど、答えは後者でした。

与野本町は、JR埼京線で池袋まで直通30分。都内に通勤しながらここに住む人が多い。落ち着いた住環境で、地域のコミュニティが根付いている。繁華街的な喧騒がなく、ゆっくり飲める店を求めている人が多い印象でした。「ここに根を張ったら、長く続けられる」という直感がありました。

2016年に与野本町店を開いて、今年で10年目です。その直感は、今のところ間違っていなかったと思っています。

✓ ここまでのポイント

  • 繁忙期の「しくじり」から生まれたのが、保冷剤・手袋・少量仕込みのルール。忙しいほど崩れやすい基本を、意地でも守り続けることが品質の根拠になっている。
  • 「誰のために焼くか」という問いへの答えが、与野本町という場所を選ばせた。地域に根ざすことが、長く続けるための土台だと今も信じている。

「少ない本数でも満足できるか」「予算を自分でコントロールできるか」——そこが気になっているはずです。実際の席数や貸切の条件、予約の取り方など、来店前に確認しておきたい情報はネット予約ページで確認できます。スマートフォンから24時間いつでも空席状況を見られます。

やきとり大吉 与野本町店の空席をネットで確認する

「本格やきとりは高い」という思い込みを崩したかった

独立してすぐ、もうひとつの問題に向き合いました。それは値付けです。

手仕込みで、毎日仕込んで、冷凍・解凍を繰り返した鶏肉は絶対に使わない——そういう姿勢でやると、どうしてもコストがかかる。その分を価格に転嫁すれば、気軽に来られなくなる。でも安くすれば自分が続かない。

考えた末に出した結論が、「一本から頼める、単品注文の仕組み」を崩さないことでした。当店のやきとりは1本140円〜。客単価は3,000〜4,000円程度です。物価が上がっている今の時代、この水準で47年間継ぎ足されてきた秘伝のタレを使った手仕込みの焼鳥が食べられる店は、そう多くないと自負しています。

「3本だけ頼んで、ビール一杯で帰る」でも全然構わない。予算に合わせて自分でコントロールできる。それがコスパの本質だと思っているので、コース一択・最低注文金額ありきの構成にするつもりは今もありません。

物価高騰の話は、私たちの仕入れ側にも当然影響しています。それでも品質を落とす選択肢はない。ではどうするか——一本の串に込める密度を上げることで、「少ない本数でも満足できる」状態を目指す。一期一会の居酒屋を目指す理由として以前書いたこととも繋がりますが、一回の来店に後悔を残したくないという気持ちが、その根っこにあります。

47年のタレと、10年の試行錯誤が「1本140円〜」に詰まっている

少し仕込みと味付けの話をさせてください。ここが、価格と品質が両立できる理由の核心だと思っているので。

やきとり大吉の創業は1977年(昭和52年)12月1日。47年間、師から弟子へ継ぎ足されてきたタレがあります。私が修行した4店舗(大阪2、京都1、東京1)のタレが元となった現在のタレは、与野本町店を開いてから11年目に入り、今も成長し続けています。

塩はヒマラヤ岩塩を使っています。ミネラルが多く、塩味の奥にほのかな旨味と甘みがある。ただ、季節によって湿度や温度が変わると塩の出方が変わるので、目視だけでなく定期的に自分で試食して調整しています。「自分の焼鳥を何年も食べたことがない店主」というのも業界では珍しくない話ですが、私はこれを続けることが最低限の誠実さだと思っています。

焼きについては、延べ50万本以上の経験があります。数字で言うと大きく聞こえますが、要するに「この部位はこの火力で、このタイミングで返す」という感覚が体に染み込んでいるということです。専用グリラーは火力調整の速さが強みで、皮をじっくりパリッと仕上げる弱火と、レバーにさっと火を通す強火を、同じ台の上で同時に使い分けられる。「焼き過ぎず、生焼けにならない」という当たり前のことを、50万本かけて精度を上げてきました。

この積み重ねがあるから、1本140円〜という価格で出せる。安く作っているのではなく、無駄のない仕込みと熟練の焼きで、原価を品質に全振りできている、という感覚です。

ちなみに、与野本町でゆっくり静かに飲める理由について別の記事でも書いていますが、当店は全席禁煙・18席という小さな空間です。喧騒がなく落ち着けるのも、コスパを考えるうえで「体験の質」として大事な要素だと思っています。

まとめ:しくじりから生まれた哲学が、今日の一本に続いている

東京での修行中にやらかした夜の話から始めましたが、あの失敗がなければ今の仕込みのルールはなかった。与野本町という場所を選んだ判断も、「誰のために焼くか」という問いなしにはなかった。

物価が上がって、外食の一回一回に「本当にこの店でよかったか」という目が厳しくなっているのは当然だと思います。その問いに、私は「仕込み・タレ・焼き」の三つで答えるしかない。ごまかしが効かない分、手を抜く場所がありません。

1本140円〜、客単価3,000〜4,000円。さいたま市で禁煙・清潔な居酒屋を探している方にも、ぜひ一度確かめてもらいたいと思っています。

ご予約・お問い合わせはお電話でも承ります:048-859-3344

今日も大吉な一日を🏮

47年の継ぎ足しタレと、50万本の経験が詰まった一本を、1本140円〜で食べられるか——それは来て確かめてもらうしかありません。ネット予約なら希望日時と人数を入力するだけで、あとは当日来ていただくだけです。

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