実はせせりが一番うまいと言うお客様が多い。与野本町「大吉」のせせりの話

あれこれ

いつもありがとうございます。
やきとり大吉与野本町店の浜田です。

梅雨が明けて、じわっと蒸し暑い夜が続いています。こんな季節は、キンキンに冷えた神泡プレモルが飲みたくてたまらなくなりますよね。そして、冷たいビールのそばには、やっぱり焼き立ての串がないといけない。

そんな夜に、カウンターでよく聞こえてくる言葉があります。

「大将、せせりください。あれが一番うまいんだよな」

もも、かわ、つくね……焼鳥の定番は色々あります。でも、当店に何度か来てくださったお客さまが、ある日を境に必ず最初に注文するようになる部位が、このせせりです。知る人ぞ知る、というか、一度食べると「なぜ今まで頼まなかったんだ」と言いたくなるあの部位。

今日は、普段お客さまに詳しく話す機会がない「せせりの話」を少し書かせてください。

こんな方におすすめ

  • ✅ せせりを焼鳥屋で頼んだことがない、または馴染みが薄い方
  • ✅ 焼鳥の「通な頼み方」を知りたい方
  • ✅ 与野本町・さいたま市中央区で本格やきとりを楽しめる店を探している方
  • ✅ 仕込みや火入れなど、焼鳥の裏側に興味がある方
  • ✅ ビールに合う串を探しているお客さま
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せせりって、どこの部位?なぜそんなにうまいのか

せせりは、鶏の首まわりの筋肉です。首は羽ばたくたびに動く部位ではありませんが、頭を支え、くちばしを使うたびに微妙に動き続ける。その分、筋肉が細かく複雑に絡み合っていて、脂と赤身が絶妙なバランスで混在しています。

一羽から取れる量がごくわずかであること、そして筋や脂の入り方が複雑で仕込みに手間がかかること。この2つの理由から、せせりはメニューに載せていない焼鳥屋も少なくありません。

食感は、もものジューシーさとは少し違います。噛むほどに旨味がにじみ出てくる、コリっとした歯ごたえのある食感。脂は多すぎず、しつこさがない。噛み切ったあとに広がる旨味の余韻が長い。

ビールとの相性が抜群なのは、この「旨味の余韻」のせいだと思います。口の中にまだ旨味が残っているうちに、冷たいビールが入ってくる。あの感じです。

お客さまが「せせりが一番」と言うのは、決して大げさではありません。食べ慣れるほど、他の部位では味わえない個性に気づいてしまう。そういう部位なんです。

せせりの仕込みで、実はここに一番気を遣っています

せせりの仕込みは、正直なところ手間がかかります。首まわりの肉は形が一定ではなく、脂の入り方も一枚一枚違う。だからこそ、丁寧に向き合う必要があります。

まず、余分な脂や筋を取り除く下処理。ここを適当にやると、焼いたときに食感がバラバラになります。口に入れたときの「あのコリっとした歯ごたえ」は、下処理の丁寧さで決まります。

次に、サイズのカット。当店では、試食を重ねて「最初の一口からおいしく感じる」最適なサイズを割り出しています。せせりは特に、大きすぎると火の通りにムラが出やすい。小さすぎると、あの「噛むほどに旨味が出る」食感が損なわれる。そのギリギリの大きさを探るのに、修行時代から今に至るまで、ずっと試し続けています。

串打ちの際は、手袋と指サックを着用し、保冷剤で鶏肉を冷やしながら手早く作業します。せせりは特に脂が多い部位なので、手の温度で脂が溶け始めると鮮度と食感に影響が出やすい。見えないところですが、こういう積み重ねが「いつ食べても安定している」という評価につながっていると信じています。

✓ ここまでのポイント

  • せせりは一羽から取れる量が少なく、脂と赤身のバランスが独特。噛むほどに旨味が出る部位
  • 仕込みの下処理とカットサイズが、あの「コリっとした食感」を生む肝心なポイント
  • 保冷剤を使いながら手早く串打ちすることで、鮮度と食感を最後まで守っている

タレ派か、塩派か。せせりはどちらで食べるのが正解?

これはよく聞かれます。正解はないのですが、私の個人的な見解をお伝えすると、

「初めて食べる方は塩から」と伝えることが多いです。

当店の塩はヒマラヤ岩塩を使っています。ミネラルを多く含み、塩味のあとにほんのりと旨味と甘みを感じる。せせり本来の複雑な旨味を、最も素直に感じられるのが塩なんです。

ただ、塩加減は季節によって変わります。夏は湿度が高く塩が溶けやすいため、目視だけでは管理できない。だから私は定期的に自分で試食して、感覚をキャリブレーションするようにしています。「自分の焼鳥を何年も食べていない店主もいる」という話を以前したことがありますが、味付けは食べ続けてこそ調整できるものだと思っています。

一方でタレ派の方も多く、47年間継ぎ足されてきた秘伝のタレをまとったせせりは、また別の旨さがあります。私が修行した大阪2店舗、京都1店舗、東京1店舗、計4店舗の経験が今の当店のタレに息づいていて、現在11年目のタレは今もゆっくりと育っています。

2本頼んで、1本は塩、1本はタレで食べ比べるのが、個人的にはおすすめです。どちらが好きかは、ぜひご自身で確かめてみてください。

せせりの焼きで、50万本の経験が一番活きる瞬間

仕込みと味付けを丁寧にやっても、火入れで台無しにしてしまっては意味がない。そして正直に言うと、せせりは焼きが最も難しい部位のひとつです。

理由は、脂の多さです。火に近づけすぎると脂が一気に落ちて火柱が上がり、表面だけ焦げて中が生焼けになる。遠ざけすぎると、今度はパサパサに乾いてしまう。この間を見極めるのが、経験の差が出るところです。

当店は炭ではなく、やきとり大吉専用のグリラーを使っています。炭の最大火力にはわずかに届かないものの、このグリラーの最大の強みは「火力調整の速さ」です。

せせりを焼くとき、私は何度か火力を切り替えます。最初は中火でじっくり熱を入れ、途中で弱火に落として脂をゆっくり抜く。仕上げの手前でまた少し火力を上げて、表面に香ばしさを乗せる。この一連の動作を、カウンターで注文の入った他の部位と同時進行でやっています。

炭の場合、火力を下げようとしても炭は急に温度が変わらない。グリラーはその点、私の意図に素直についてきます。50万本以上を焼いてきた中で、このグリラーとの対話を繰り返してきた結果が、今の「せせりの焼き」です。

焼き上がりの目安は、串を触ったときの手への熱の伝わり方と、表面の色の変化。これは数字では表せません。毎日焼き続けてきた感覚が、言語化できない部分で判断しています。

まとめ:せせりは、知ってしまうと戻れない部位です

長々と書きましたが、伝えたかったのはシンプルなことです。

せせりは、知らないうちは注文すらしない部位かもしれない。でも一度食べると、なぜかまた頼みたくなる。そして気づいたら「大将、せせりください」が口癖になっている。そういうお客さまを、開業10年でたくさん見てきました。

普段、焼き場に立ちながらお客さまとじっくり話す時間はなかなか取れません。でも、この記事を読んでくださった方には、せせりを串に刺しながら考えていることが少し伝わったなら、それで十分です。

与野本町にお越しの際は、ぜひ一度、せせりを塩で頼んでみてください。あとはもう、串と神泡が語ってくれます。

ご予約・お問い合わせはお気軽にどうぞ。カウンターでお待ちしております。

📞 048-859-3344(17:00〜23:00 / 火曜定休)

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今日も大吉な一日を🏮