与野本町「大吉」の串一本が完成するまで。仕込みのこだわりに密着してみた

あれこれ

いつもありがとうございます。
やきとり大吉与野本町店の浜田です。

先日、カウンターでお一人でゆっくり飲んでいたお客さまから、こんな声をかけていただきました。

「浜田さん、うちで缶ビール飲んでも全然おいしくなくて。ここに来た一杯目のあの感じが、どうしても再現できないんですよね」

正直に言うと、その言葉はすごく嬉しかったです。と同時に、「それはたぶん、串とセットじゃないと出ない感覚だと思いますよ」とお答えしました。

缶ビールや市販品が「おいしくない」わけじゃない。ただ、温度も泡も、合わせる料理も違う。そういうことの積み重ねが、あの一口目の「うまっ」を作っているんだと、10年この仕事をしていて確信しています。

今日は、その「一口目」が生まれるまでの一日を、できるだけ具体的にお話しさせてください。仕込みの手順、タレの話、そしてなぜうちの生ビールとやきとりがあんなに合うのか。全部まとめてお伝えします。

こんな方におすすめ

  • ✅ 缶ビールや家飲みでは物足りなさを感じている方
  • ✅ やきとりと生ビールの「最高の組み合わせ」を体験してみたい方
  • ✅ 与野本町・さいたま市中央区で本格焼鳥が楽しめるお店を探している方
  • ✅ お店の仕込みや職人のこだわりを知ってから訪問したい方
  • ✅ 仕事終わりや週末に、質のいい一杯でゆっくりしたい方
与野本町「大吉」の串一本が完成するまで。仕込みのこだわりに密着してみた | やきとり大吉与野本町店

午後2時台。仕込みは「冷たさ」から始まる

開店は17時ですが、私の一日はその3時間ほど前から動き出します。まずやることは、鶏肉の状態確認です。

うちでは冷凍・解凍を繰り返した鶏肉は一切使いません。毎日、新鮮なものをその日の分だけ仕込む。これが基本中の基本です。理由は単純で、鶏肉は鮮度が落ちると焼いたときの香りと食感が如実に変わるからです。どんなに焼きの技術があっても、素材の鮮度には勝てない。

串打ちの作業で意外と知られていないのが、「温度管理」の話です。鶏肉は手の温度(体温)に触れ続けるだけでも品質が落ちていきます。だから私は、薄手の手袋と指サックを使いながら、少量ずつ保冷剤で冷やした状態で手早く串を刺していきます。

「そこまでやるの?」と思う方もいるかもしれません。でも、焼き上がった串をお客さまが口に入れる瞬間のことを考えると、仕込みの段階から妥協できないんです。

カットのサイズにもこだわりがあります。これは長年の試食を重ねて導き出したもので、「最初の一口からおいしい」と感じてもらえるサイズを部位ごとに決めています。皮は薄く広げて巻き、モモは食べ応えを残しながらも火が均一に入るよう厚みを調整する。レバーは臭みが出ないよう処理のタイミングまで含めて管理する。串一本の長さは15センチほどですが、そこに積み上げてきた判断が詰まっています。

タレと塩。47年の味を「今日の天気」に合わせる

仕込みが一段落したら、タレの確認に入ります。

やきとり大吉の創業は1977年(昭和52年)。師から弟子へと継ぎ足されてきた秘伝のタレが、今もうちの厨房にあります。私自身は大阪2店舗、京都1店舗、東京1店舗の計4店舗で修行を積みましたが、それぞれの店で受け継いだタレのエッセンスを合わせて今のうちのタレになっています。11年目を迎えた今も、このタレは継ぎ足しながら成長を続けています。

「継ぎ足し」と聞くと漠然としたイメージを持たれるかもしれませんが、実際にはかなり繊細な作業です。タレの状態は気温や湿度によって変化します。夏と冬では粘度も香りも微妙に変わる。だから毎日、目と鼻と舌で確認して、微調整を加えます。

塩串についても同じです。うちが使っているのはヒマラヤ岩塩。多くのミネラルを含んでいて、塩味の後ろにほんのりとした旨味と甘みがある。焼鳥の脂と合わさったときに、その甘みが引き立つんです。ただ、この塩も湿度によって「出方」が変わります。梅雨の時期と乾燥した冬では、同じ量でも塩加減が変わってしまう。だから私は、毎日必ず自分の焼鳥を試食します。

意外に思うかもしれませんが、自分の串を長年食べていない店主もいるそうです。私はそれが怖くて。感覚がズレていたら、お客さまに気づく前に自分で気づかないといけない。試食は「確認作業」ではなく「基準を持ち続けるための習慣」だと思っています。

✓ ここまでのポイント

  • 仕込みは「冷たさの管理」から始まる。手袋・保冷剤・手早い串打ちで鮮度を守る
  • タレと塩は毎日、その日の気温・湿度に合わせて試食しながら微調整している
  • カットサイズも部位ごとに最適化されており、「最初の一口からおいしい」ことを目指している

17時、開店。グリラーの火が入る瞬間から「焼き」の勝負が始まる

仕込みを終えて、グリラーに火を入れます。この瞬間が、私にとって一日の中でいちばん気持ちの切り替わる場面です。

うちで使っているのは、やきとり大吉の専用グリラーです。炭と比べてどうか、とよく聞かれますが、私はこのグリラーの「火力調整の速さ」に一番の価値があると思っています。

炭は熱量として優れていますが、弱火への切り替えに時間がかかる。グリラーはそれが即座にできる。皮をパリパリに仕上げるための弱火、レバーに素早く火を通すための強火、モモ肉をふっくら仕上げるための中火。これを複数の串で同時進行でやる。お客さまの注文が重なる時間帯に、各部位を「最高のタイミング」で焼き上げるにはこの速さが必要なんです。

延べ50万本以上を焼いてきて身についたのは、「焼き過ぎを恐れる感覚」です。生焼けはもちろんダメですが、一秒の焼き過ぎがレバーのしっとり感を奪う。モモの余分な水分が抜けて食感が変わる。その「一秒」を判断するのは、機械ではなく経験です。

その串に、神泡の一杯を合わせる理由

ここまで仕込みと焼きの話をしてきましたが、最終的にお客さまの「うまっ」を完成させるのは、やはり生ビールとの組み合わせだと思っています。

うちはサントリーの「神泡達人店」認定を受けています。これは単純に「プレモルを出している店」ということではなく、樽の管理・サーバーの洗浄・温度・ガス圧・グラスの保管方法まで、すべての基準をクリアした店にだけ与えられる認定です。

冒頭でお客さまが「家では再現できない」とおっしゃっていた理由は、ここにあります。缶ビールや瓶ビールでは、泡のきめ細かさと液体の温度を同時にベストな状態に保つことが難しい。サーバーの洗浄が甘いと、雑味や酸味が出る。グラスの温度が高ければ、泡が崩れる。これを毎日一杯目から最後の一杯まで一定に保つのが、神泡達人店としての責任です。

そして、丁寧に焼かれた串と冷たい神泡の生ビールが合わさる瞬間。かわのパリパリした脂、レバーのほのかな苦みと鉄分、つくねの肉汁。これらが炭酸のキレと泡のまろやかさで洗われると、次の一口が止まらなくなる。

これは理屈ではなく、焼鳥屋として10年やってきた体感です。家で缶ビールと市販の焼鳥では、この「連鎖」が起きにくい。それは素材でも技術でもなく、「全部が整った状態」が揃わないと出ない感覚だからだと思っています。

まとめ。串一本と一杯のビールに、一日が詰まっている

午後2時の仕込みから始まって、タレと塩の確認、グリラーへの火入れ、そして閉店まで。この一日の積み重ねが、お客さまの一口目の「うまっ」になっています。

特別なことは何もやっていないつもりです。新鮮な鶏肉を毎日手仕込みして、47年の継ぎ足しタレを今日の天気に合わせて調整して、50万本の経験で焼く。それを、神泡の生ビールと一緒に出す。ただそれだけです。

ただ、その「それだけ」を手を抜かずにやり続けることが、この仕事だと思っています。

与野本町にお越しの際は、ぜひカウンターで一杯、試してみてください。「家では再現できない」その感覚を、串と一緒に味わっていただけたら嬉しいです。

ご予約はお電話または食べログのネット予約からどうぞ。お一人でのふらっとご来店も大歓迎です。お気軽にお越しください。

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やきとり大吉与野本町店
埼玉県さいたま市中央区下落合6-7-12
JR埼京線 与野本町駅 東口より徒歩4分
営業時間:17:00〜23:00(火曜定休)

今日も大吉な一日を🏮