与野本町「大吉」の手羽先、焼き上がりまでの工程に密着してみた

あれこれ

いつもありがとうございます。
やきとり大吉与野本町店の浜田です。

「焼き鳥って、どこで食べても同じじゃないの?」

「チェーン店も個人店も、串に刺した鶏肉を焼くだけでしょ?」

「手羽先なんて、ただ焼けばいいだけじゃないか?」

そう思ったことのある方、正直に手を挙げてもらえますか。わかります、その気持ち。外から見ていると、焼き鳥屋というのはずいぶんシンプルな商売に映ることでしょう。

でも、一本の手羽先が「うまっ!」と声が出るほどの状態でお客さまの口に届くまでには、開店前から始まる地味で手のかかる仕事が積み重なっています。今日はその全工程を、私自身の一日の動きを追いながら、できるだけ正直にお伝えしてみようと思います。

こんな方におすすめ

  • ✅ 手羽先がどうやって仕込まれているか気になる方
  • ✅ 個人店の焼き鳥屋がチェーン店と何が違うのか知りたい方
  • ✅ 与野本町で「本物の焼き鳥」が食べられる店を探している方
  • ✅ 焼き立ての手羽先と冷えたビールの組み合わせに弱い方
  • ✅ 食べ物のうしろにある職人の仕事に興味がある方
与野本町「大吉」の手羽先、焼き上がりまでの工程に密着してみた | やきとり大吉与野本町店

午後2時:まず「今日の鶏肉」と向き合うところから

仕込みは開店の3時間ほど前から始まります。

最初にやることは、その日届いた鶏肉の状態を確認することです。当店では冷凍・解凍を繰り返した鶏肉は使いません。新鮮なものだけを仕入れていますが、それでも毎日まったく同じ状態で届くとは限らない。脂の乗り方、肉の色、弾力——そのあたりをざっと確認してから、手羽先の仕込みに入ります。

手羽先というのは、ほかの部位と比べて少し手間のかかる相手です。骨のまわりに旨味がたっぷり詰まっている反面、火の入り方が部位によってばらつきやすい。关節まわりは火が通りにくく、先端の薄い部分は逆に焦げやすい。そのあたりを頭に入れながら、カットに入ります。

カットのサイズは「最初の一口から旨い」と感じてもらえる大きさを基準にしています。これは長年の試食の積み重ねから導き出したサイズです。大きすぎると火の入りが不均一になる。小さすぎると肉の旨味が逃げやすい。何年やってもこのバランスは微妙なもので、今も気を抜かずに確認しながらカットしています。

午後3時:串打ちは「温度との戦い」でもある

カットが終わったら、いよいよ串打ちです。

ここで一番気をつけているのは、鶏肉の温度です。手の体温が肉に伝わり続けると、鮮度が落ちる。それを防ぐために、手袋と指サックを使い、さらに保冷剤で少量ずつ冷やしながら手早く串を刺していきます。

「そこまでやるの?」と言われることがありますが、やります。鮮度の差は焼き上がりの味に出るんです。焼いたあとに気づいても遅い話なので、仕込みの段階で徹底するほかない。

手羽先の串打ちは、骨と肉の構造を意識しながら刺す角度を決めます。串が骨に沿って通ることで、焼いたときに肉が均一に熱を受けられる。逆に串が骨を避けるように曲がって入ってしまうと、焼き上がりに偏りが出ます。50万本以上焼いてきた経験の中で体に染み込んだ感覚ですが、毎回ちゃんと確認しながらやっています。

✓ ここまでのポイント

  • 仕込みは開店3時間前から。新鮮な鶏肉のみ使用し、その日の状態を確認してからカットに入る
  • 串打ちは手袋・指サック・保冷剤を使い、鶏肉の温度管理を徹底しながら手早く行う
  • 手羽先は骨の構造を意識した串の刺し方で、焼き上がりの均一さを仕込みの段階から作っている

午後4時:タレの状態を確認する、静かな時間

串打ちが一通り終わると、今度はタレの状態を確認します。

当店のタレは、やきとり大吉の創業(1977年・昭和52年)から47年間、継ぎ足しながら受け継がれてきた秘伝のタレです。私が与野本町に店を開いてからも毎日継ぎ足してきたので、今のタレはもう11年目に入っています。

大阪2店舗、京都1店舗、東京1店舗——計4店舗での修行を経て受け継いだタレが、今もここで生きている。そう思うと、毎日の確認作業もおろそかにはできません。

タレの確認は、目で見るだけでは足りません。季節によって湿度や温度が変わると、タレのとろみや塩分の感じ方が変わることがあります。だから必ず試食をします。これは面倒くさいとか、そういう話ではなく、自分の店の味を自分でわかっていたいというシンプルな理由からです。

塩も同じ。当店ではヒマラヤ岩塩を使っています。ミネラルが豊富で、塩辛さだけでなく旨味と甘みのニュアンスがある。季節ごとに塩の出方が変わるので、こちらも目視だけでなく試食で確認してから営業に入ります。

午後5時:開店、そして「火入れ」が始まる

17時、開店です。

最初のお客さまが席についてオーダーが入ったら、グリラーの前に立ちます。当店は大吉専用グリラーを使っています。炭火ほどの最高火力には及びませんが、このグリラーの最大の強みは「火力調整の速さ」です。

手羽先の火入れは、特に神経を使います。

まず中火でじっくり骨まわりに熱を届ける。途中で強火にして皮目をパリッと仕上げる。関節部分はしっかり火を通しながらも、肉が締まりすぎないよう調整する——この一連の流れを、ほかの部位と並行しながら進めていきます。レバーはさっと強火で。モモはじっくり中火で。皮はパリッと弱火から。同じグリラーの上で、部位ごとに違う火を使っているわけです。

電気グリラーだから「安定した火」が出る。でも、安定した火を使いこなすのは人間の技術です。50万本の経験は、ここで生きています。

手羽先が焼き上がる瞬間——皮がパリッと音を立てて、肉の旨味を閉じ込めたタレが照りを帯びる瞬間——は、何年やっても「よし」と思える瞬間です。

焼き上がった手羽先と、最高の一杯

焼き上がった手羽先は、できる限り焼き立てをお届けしたい。そのためにオーダーが入ってから焼き始め、焼けたものからお持ちします。

手羽先に合わせてほしいのは、神泡のプレモル生ビールです。当店はサントリー「神泡達人店」の認定を受けており、樽の管理・サーバーの洗浄・温度・ガス圧・グラスの保管まで徹底しています。焼き立ての手羽先と、最初の一口から泡がきめ細かい神泡プレモルの組み合わせは、仕事終わりの疲れを一瞬で忘れさせてくれると思っています。

一本140円〜という価格帯で、客単価は3,000〜4,000円ほど。仕込みから焼きまで毎日手をかけた焼き鳥を、この価格で食べていただけるのは、余計なことをやらずに「これだけ」に集中してきたからです。

まとめ:一本の手羽先に、一日分の仕事が詰まっている

仕込みを始める午後2時から、お客さまに手羽先をお届けする午後5時以降まで——一本の手羽先が完成するまでに、地味で手のかかる工程が積み重なっています。

カットのサイズ、鮮度を守る串打ち、タレと塩の確認、そして部位ごとに使い分ける火力。どれか一つが欠けても、あの「うまっ!」という瞬間にはなりません。

与野本町に店を開いて10年。この一連の仕事を、明日も、明後日も続けていきます。

ご来店の際は、カウンター席からグリラーの前を眺めながら食べていただくのも悪くありません。気が向いたら、気軽に声をかけてください。

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今日も大吉な一日を🏮